谷寛窯 谷井芳山


日本で代表的な陶器の産地である信楽焼きの発展に貢献した
谷寛窯3代目の谷井芳山さん。

自然を愛し、自然からのメッセージを器に込めて40年以上
陶器の道一筋に人生を捧げてきた陶芸家。

国内外で活躍するお弟子さんは20名以上と
信楽、日本の陶器の発展にも貢献されている方でいらっしゃいます。

芳山さんは
雄大な自然に囲まれた地、奈良県吉野に産まれ育ちました。

学生時代に不運な事故に会い、以降右足に障害を抱えることとなります。
手術と療養を兼ねて、訪れた東大寺にある療養施設のカリキュラムで
初めて陶器作りを体験、生涯の仕事となる陶芸との出会いを果たされます。

若き日に将来は美術の分野に進もうと決め、学生時代は美術の分野を学び
大学生の4年間は陶器に魅了され、陶芸の創作活動に没頭されていたようです。

卒業後、修行の為窯元に就職、2年間勤めた後
縁あって谷寛窯先代の好意によって工房を借り受け、友人と二人で独立して陶芸の仕事を進めていきます。

その後、谷寛窯の娘さんに惚れ込み、結婚を機に故郷の吉野に帰ろうと考えていたようですが
先代から、谷寛窯を継承して欲しいとの話を受け、3代目を継承されることとなったそうです。

この時、芳山と命名下さった方が、初めて陶器との出会いを作ってくれた東大寺の上司永慶さん。
後に東大寺のトップとなられた方で、芳山さんが信楽で陶器の道を進むことに大変喜ばれたようです。

谷寛窯を継承後、先代が自分自身にしてくれたように
若い人達を育てようと、全国から弟子を募り、20名を超える方を立派に育てあげたようです。
この時期は、仕事と経営者としての仕事に追われていたようで、自分自身の作品作りに余裕を持って
取り組めるようになったのは、40歳を超えてからだそうです。

現在も特徴ある作品を数多く手掛け
地元信楽や東大寺のチャリティー作品展への参加など
地域貢献にも数多く携わり活躍を続けられています。

作品の特徴
自然を愛し、自然からのメッセージを器に込めてきた芳山さん。
芳山さんが作る器にはそれぞれのメッセージがあります。

雪中華
故郷に咲く奈良の桜への想いを馳せ
山桜に降り積もった雪の中から、姿を魅せる桜の美しさを表現した器。

芳春
雪に覆われた地表から芽を出した春の息吹を表現した器。

Tablinをご覧になった方へのメッセージ

手仕事の仕事がすたれていく今の時代。
大量生産、大量消費のスタイルが全世界を覆い、自然の法則である循環のシステムを壊し続ける世界に警笛を鳴らす。

良き物、代々受け継がれてきた物を永く使い続けていく、物を愛し、伝統を重んじる豊かな心。
陶器の仕事を通じて、もっともっとそうしたメッセージを伝え続けていくことが私の役割だと思っています。

私は土から作った陶器を愛しています。
陶器は磁器と違った味わいがあります。
磁器は作った時が完成となりますが
陶器は作ったばかりは生まれたての赤ちゃん
使い続け変わっていく様を育てることを楽しんでもらいたいです。









About tablin